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新しい点を置く仕事。

画像引用元:Future Positive

まだ何もないところに新しい点を置くとき、人はどんな気持ちなんだろう。誇らしくて、気持ちよくて、でも不安で、何かに頼りたくなるかもしれない。希望も不安もなくただ信じてやり続けるのかもしれない。どちらであっても、そのあとには新しい文化やコミュニティが生まれる。

ベルリンのスペシャルティ・コーヒーの先駆、The Barn(ザ・バーン)のオーナー、ラルフさんと話す機会を得た。とても柔らかくスマートで、自由な雰囲気をたたえた人だった。それは先駆者だからかもしれない。

「2010年当時、ベルリンには浅煎りのスペシャルティ・コーヒーの店は無かった。深煎りの店ばかりだった。でも一杯のフルーティーなエスプレッソが一人をインスパイアし、それを見た誰かがまたインスパイアされ、そんな感じで徐々に広がっていったんだ」

ベルリンは今や世界有数のスペシャルティ・コーヒーの街である。

Brew up and cupping session went very well at Weekenders in Kyoto last night. Thank you all for coming! https://instagram.com/p/BR_7Yf-B8bc/

THE BARN COFFEE ROASTERSさん(@thebarnberlin)がシェアした投稿 –

最近「シェフのテーブル」というドキュメンタリーを見ていて気になったのも偶然ベルリンのシェフだった。

ベルリンの星付きレストランのシェフ、ティム・ラウエ。彼は幼いころ暴力を受けて育ち、大人になる頃にはギャングの仲間入りをした。でも、食べていくために始めた料理が彼を救った。

ベルリンの人はクラシックなレストランを好み、新鮮な料理というより「高級レストランで食事をする」という経験の方が求められたという。ラウエはそんな美食の街とは言い難いベルリンでガストロノミーの店を始め、すぐにミシュラン二つ星を獲得した。しかも彼はその成功に飽き足らず、フランス料理から高級アジア料理にシフトした。「アジア料理はチープ」という認識があるベルリンではまず成功しないだろうと言われたけれど、その結果は素晴らしいものだった。

ラウエはベルリンを美食の街に変えたのである。

ザ・バーンのラルフさんと話していると、シェフのラウエと重なって感じられた。ラルフさんは優しくラウエさんは厳しい人のようなので、性格は真逆である。でも、似ている。何もないところに新しい点を置いた人たち。そこから新しい文化、価値観、コミュニティが育まれる。自由の匂いがする。

新しい点を置く仕事をしたい。そこにしかワクワクしない。

そんなことを改めて思えた素敵な出会いでした。

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