先日コアメンバーの三人で話をしているとき、スペシャルティ・コーヒーの価格についての話題が出た。
スペシャルティ・コーヒーの生豆は大体1キロ800〜1000円。焙煎豆は100g 600円〜800円。改めて考えてみると、ものすごく高粗利の商品のように思える。
私の中で「スペシャルティ・コーヒーは価値があるものだから、それなりの価格で販売しなくてはならない」という考えがあったのだけれど、果たしてそうなのだろうか。
コーヒー業界外の二人からすると「え、原価がそれなのになんでそんなに高いの?」と考えるのは当然かもしれない。いろいろ計算してみたところ、市場価格の半値でも利益は出るという結果に。
コーヒーの価格について話題にしたい焙煎所は二つある。
一つ目は、デンマークの焙煎所、コーヒー・コレクティブ。彼らはコーヒー豆のラベルに現地の買い取り価格を記載している。いくらで買って、それは市場価格の何倍なのか。つまり彼らの「取り分」がパッケージに書いてあるということである。透明性。画期的。
二つ目は、鹿児島のヴォアラコーヒーさん。私が日本で最も敬愛する焙煎所。ヴォアラさんの値付けはボリューム・ディスカウントで、量が多くなるにつれて安くなるのである。しかも、とんでもなく。
例えば、グアテマラで最も有名な農園、エルインヘルト農園のコーヒー豆が、250gで1,296円。1kgで3,780円。つまり100g 378円。安っ!!!
ヴォアラさんは売れていて焙煎量が多く(最近も新しい70kgの焙煎機を購入されましたね)安く安定的に販売し、仕入れができる状況だとしても、あまりにも安い。でも、考え抜かれた値付けだと思う。どのような思考を経てこの値付けにたどり着いたのか、思いを馳せるだけで勉強になる。
コーヒーの仕事をしている人は、スペシャルティ・コーヒーを飲む人を増やしたいとみんな思ってる。「スペシャルティ・コーヒーって美味しいんだよーーー」と声高に叫んでも、力技じゃ届かない。
「だったら買いやすい値段にしたら?」というのは案外根本的なソリューションなのかもしれない。
だって、いくら美味しくても飲んでもらえないなら意味ないじゃん。
コーヒー農園の人も、たくさんの人に飲んでもらうことが一番嬉しいんだろうしね。