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WORLD COFFEE RESEARCH(ワールド・コーヒー・リサーチ)を知った。

先日、インターネットで偶然見つけたウェブページ。

不勉強ながらこれまでまったく知らなかったけれど、どうやらコーヒー生産者とコーヒーの生育をサポートする団体らしい。ワールド・コーヒー・リサーチ(以下WCR)という。

コーヒー従事者の出資で成り立っていて、出資元のリストには、イリー、キーコーヒー、ピーツなど超大手をはじめ、カウンターカルチャーコーヒー(Counter Culture Coffee)インテリジェンシア(Intelligentsia Coffee)、日本の共同購入グループもちらほら、そして我らがミスター・エスプレッソの名前もあった!

グローバルの本部はアメリカのテキサスA&M大学、サイエンスの本部はフランス、グアテマラ、エルサルバドルにある。ポートランドにはコミュニティ・オフィス。世界中じゃん!面白い。

彼ら曰く、コーヒーはこの四つのリスクにさらされているという。

・気候変動
・低収量
・病害と害虫
・品質向上を阻む障壁(経済的な)

これらに対して科学的なアプローチから解決を図っている。
それが感動的するほど抜本的だった。

International Multilocation Variety Trial(IMLVT)という取り組みである。

コーヒーノキの経済寿命は30年と言われ、植え替えが必要になる。

これまでコーヒー農園には、品種の選択肢がとても少なかった。それは植民地であった歴史や、土地ごとの伝統が関係している。「おじいちゃんの代から、ずっとこの品種だったし・・・」という感じだろうか。

例えば「この土地にこの品種植えたら、病害にも強いし、気候にも合うし、めっちゃ美味しいし最高!」という品種が世界のどこかに存在したとしても、農園の人はそれを知る由もないし、知ったとしてもどうしようもなかった。

そこでWCRは、11のサプライヤーから優れた35品種を集めて純粋培養し、19ヶ国に配布してその生育状況を観察している。その事例が積み重なり、それぞれの土地にベストな品種を選択し配布できるようになるというわけ。

これって、すごいソリューションだと思う。

農家の人はコーヒーの生産量を確保することができ、経済的に安定する。
焙煎所は質の高いコーヒー豆を安定的に仕入れることができる。
そして私たちはこの先の未来、毎日美味しいコーヒーを飲める!

コーヒーを持続可能にするということを、これほどプラクティカルに実行する人たちがいたとは。

問題解決のやり方がすごい。対処療法的に「気候変動を改善しよう!」とか「収穫量を上げるためにこれをやろう!」じゃなくて、問題の本質を掘り下げると一つのアクションで複数の問題が一気に解決する。

科学者やコーヒーテイスターや貿易会社、様々な立場の人がそれぞれの力を持ち寄り、世界規模でものごとを動かしていく。それには凄まじい情熱と労力が必要なはず。みんなコーヒーが大好きなんだろう。

美味しいコーヒーがふつうに飲めるって当たり前のことじゃないんだ。

私たちは今は大きな力は持ち合わせてないけれど、共感する人たちとともに未来をよくすることはできる。
それが五年後、十年後、何かを大きく動かすだろう。

まずは一歩をどこに定めるか。楽しみだ!

(WCRネタはしばらく続くと思われます。少々マニアックですがお付き合い下さい)

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