去年の夏、私はアメリカへ旅に出た。
旅に出た理由は、可能な限り多くのコーヒーに触れて「美味しいコーヒーって何?」という問いに対して、自分なりの答えを持つため。それだけだった。
でも、それだけじゃなくなった。
そんな私の旅を、ログにして残しておきたいと思う。
それはサードウエーブという現象を記録することにもなるだろうし、これからアメリカを訪れようとしている人にとっては、カフェのガイドにもなるだろう。また、コーヒー好きの30歳の女がアメリカを旅するドキュメンタリーにもなるだろう!(そんな角度で読みたい人がいるかどうかは別として)
サンフランシスコ、ポートランド、ニューヨーク、バンクーバー。
コーヒーカルチャーの肌触りはそれぞれ全く違った。
ちょっと主観的な視点で、アメリカの旅を物語りたい。
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デザインやマーケティングがよく取り沙汰されるけど、ブルーボトルの素晴らしさは、安定して美味しいという事に尽きる。少なくとも私の飲んだブルーボトルのコーヒーは全て美味しかった。
それは、お客さんに美味しいコーヒーを飲んで欲しいという思いが、ちゃんとカタチになっているという事。コーヒー屋さんのあるべき姿である。東京のお店もとても楽しみだ。
サンフランシスコのブルーボトルは、ほとんどのお店を見たけれど、一つお気に入りを選ぶとしたら、ヒースセラミックスのお店だ。
ヒースセラミックスとは、1940年代から続くサンフランシスコの陶器屋さん。ぽってりとした厚みのある食器がとても可愛い。シェ・パニーズをはじめ数々の有名レストランで使われている。
ブルーボトルはヒースとコラボレーションして、工場内にカフェを作った。
地元のものづくりをリスペクトして繋がり合う。すごく豊かな事だ。
ここでヒースのマグに入ったコーヒーを飲むと、とてもいい気分になる。
私達は自分が使っているモノがどうやって作られているか知らない。
毎日使っているマグやお箸、ペンや鞄は、一体どこからやってきたのだろう?
口に入れる食材と同じように、自分が使うモノのルーツを知る事は、
人生の質にコミットする事だと思う。
例えば、友達が作った鞄なら、ずっと大切にする。
そんな感じで大切に出来るものが増えたら、生活はきっと変わるだろう。
スペシャルティコーヒーも同じ。
繋がり合った農園のコーヒー豆を焙煎したい。
それを飲み手に伝えたいと思う。
考えるだけで、とてもワクワクする!
お土産にヒースの小さいオレンジ色のボウルを買った。
日本の台所でそのボウルに青菜のおひたしを盛り付ける時、
やっぱりちょっと、特別な嬉しさがあるのだ。
(つづく)