パナソニックから家庭用の焙煎機が発表されましたね!
その名も、The Roast(ザ・ロースト)。
この焙煎機、実はイギリスのスタートアップ企業が開発して、キックスターター(クラウドファンディング)によって世に出たプロダクトを、パナソニックが日本仕様にして販売開始したものなのです。今回はその前身に当たるイギリスのIKAWAのストーリーをご紹介します。
IKAWAの家庭用焙煎機はキッチンに置けるくらいの大きさで、操作は基本的にiPhoneで行います。約50gのコーヒー豆が約15分で焙煎できます。
家庭用とプロ用の二つの機種があり、家庭用は既存の焙煎プロファイルをカスタマイズすることも、自分でつくることもできます。プロ用は精度が高く、温度を20段階、風量は10段階で調整できます。また、家庭用もプロ用も、自分の焙煎プロファイルをインターネット上に保存し、他のユーザーとアプリで共有することができるのです。
家庭用のプレオーダー価格は£850(850英ポンド=約12万円)。ふむふむ。
これからきっと、世界中のプロの焙煎士が焙煎プロファイルを共有したり、焙煎プロファイルをつくるプロ(インスタグラマーみたいな感じ)が出てくるでしょう。コーヒー生産地の人が、おすすめのプロファイルと一緒に生豆を販売し始めたりして・・・。面白い!
そして、IKAWAのサイトにはこんなことが書かれています。
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IKAWA’S SOCIAL AIM
私たちは焙煎機を販売することはもちろん、素晴らしいコーヒーを生産者から仕入れるサプライチェーンを整え、よりダイレクトに消費者に販売したいと思っています。コーヒーの生豆を販売することはサプライチェーンをシンプルにします。生豆の売上の10%を、コーヒー農園の方々がより質の高いコーヒーをつくり、より多くの収入を得るプロジェクトに再投資するつもりです。
OUR VISION IS TO
素晴らしいコーヒーの品質をより高め、その価値を正当に評価することによって、小規模農園の価値連鎖をよりよくし、世界のコーヒー産業と消費者に利益をもたらすこと。
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IKAWAのファウンダーでCEOのアンドリューさんは、お父さんがコーヒー農園に関わる仕事をしていたので、パプアニューギニア、バヌアツ、ブルンジなどの発展途上国で育ち、その後、ロンドンの美術大学に進学して工業デザインを学びました。きっと幼い頃、コーヒー農園で働く人たちの生活が心に焼き付いていて、このような志が立ったのでしょう。消費者が生豆を買えるようになれば、より多く生産地に還元できます。彼らはこれから生豆の調達に注力し、その売上の10%を生産地に再投資すると言っています。
そう、彼らの目的は、焙煎機を売ることではなく、コーヒー産業をイノベーションすることなんです。
優れたイノベーションは、誰かの個人的な幼い頃の記憶や、心のなかに秘めた思いから生まれます。それこそが人の共感を呼び、広がっていくのでしょう。私は本当に心から感動しました。IKAWA、ファンになった。
それでは日本にはどのようなかたちでやってくるのでしょうか。
(つづく)