旅先でスーパーマーケットに行くのが好きだ。
食材を買って自炊したり、シャンプーや洗剤など日用品も現地調達するのが好き。私にとって旅をすることは、その土地の日常に溶けこむことなのかもしれない。それが一番非日常だからかも。
サンフランシスコには訪れるべきスーパーマーケットがたくさんある。その中でも二つ、サンフランシスコを象徴するようなお店を紹介したい。
1940年にオープンしたオーガニック系スーパーマーケットの元祖。ドロレス公園の近くに一号店、ディヴィサデロ通りに二号店があります。写真はディヴィサデロ通りのお店。
私にとってサンフランシスコの聖地のような場所。
お店に並ぶのは、ローカルで育まれたオーガニックの食材たち。
お店に入って少し歩いたら分かる。野菜もチーズも美しい。丁寧に扱われている美しさ。すべてに血が通っているような温かさ。デリは本当に美味しい。
彼らのミッションは「食を通じてコミュニティをつくること」。今、みんながやろうとしていることを、彼らは70年前からやっていた。彼らがサンフランシスコの食のベーシックを築いた。
一号店を出て少し歩くと反対側の道に直営のアイスクリーム屋さん「Bi-Rite Creamery」がある。お昼間はもちろん、夜もディナー帰りのお客さんで大行列。「バルサミコ・ストロベリー」や「黒ごまとソノマのはちみつ」など素敵なフレーバーが揃う。いつも選ぶのに時間がかかって困る!
朝起きて、フォーバレルでコーヒー買って、タルティーヌベーカリーでパン買って、バイライトでフルーツ買って、バイライトクリーマリーでアイス買って、ドロレス公園の芝生の上で食べる。これはサンフランシスコを訪れたときの儀式のようなもの。
ヒッピーの匂いがするオーガニック系スーパーマーケット。バイライトよりワイルドな感じで商品も安め。ちょっとラフな地域にある。1975年創業。かなり広くて(体育館くらい)とにかく品数が多い。
このお店で特徴的なのは「Bulk Foods(バルクフード)」の多さ。バルクフードとは量り売りのことで、サンフランシスコのスーパーマーケットには大抵あるけれど、ここはちょっとレベルが違う。本当にあらゆるものが量り売りされている。
シリアルや豆や穀物はもちろん、
シャンプーやボディソープも。
オリーブオイル。選ぶの楽しそうー。
味噌、キムチ、米などアジア系の食材も豊富に取り揃えてあり、うろうろしているだけで本当に楽しい。是非訪れてほしい。
サンフランシスコに到着して、泊まる場所に荷物を置いたら、まずスーパーマーケットに向かう。時間をかけて、野菜や果物や化粧品の棚をくまなく見てまわる。お気に入りを詰め込んだ紙袋を抱えて街を歩くと、私はじわじわと幸せな気持ちに包まれる。
家に帰って簡単な夕食をつくる。オーガニックのソーセージ、美味しかったなー。
サンフランシスコの豊かさの源泉は何か。それは知性だと思う。
世界を変える一番効率のよい方法は、政治家になることでもなく、募金をすることでもなく、生活を変えることだと知っているのだ。
例えば、ローカルで採れたオーガニックの食材を選ぶこと。
例えば、テクノロジーで生活の仕組みを変えること。アップル、グーグル、フェイスブック、インスタグラム、ツイッター、ウーバー、エアビーアンドビー。みんなサンフランシスコで生まれた。
サンフランシスコにおけるオーガニック文化とテック企業の隆盛は、まったくジャンルが違うようで深く繋がっている。彼らは本質を追求し、前提を覆し、世界を変えるほどの知性があるのだ(サンフランシスコ贔屓すぎ・・?)
ホールフーズの隣にセーフウェイ(普通のスーパー)があるようなところも好き。多様性の中から選択するときに意思が生まれる。
そういえばポートランドにはフォーシーズンズ(これもオーガニック系のスーパー)とホールフーズしかなかったな。ポートランドは、知性というより、街全体が感性のカタマリみたいに感じた。
では日本の豊かさの源泉は何なんだろう?他国から見たらとても豊かに見えるようだけど、私たちはそれをまだよく理解できていないように感じる。
例えば外国のよさをうまく取り入れられることが日本のよさのひとつであるなら、とりあえずコーヒー屋とかドーナツ屋を上陸させる前に、誰かホールフーズを上陸させて欲しい、切実に!
(つづく)