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サンフランシスコの夏休み #Standard Fare(スタンダード・フェア)

バークレーの街は静かで、文化のジェットコースターみたいなサンフランシスコ市内とくらべて均質な感じがする。洗練されてはいないけれど、知性や思想が街に染み込んでいて、がらんとした街にとんでもなく素晴らしいものが隠されている。まるで宝探しみたいだ。

今回はいつもお世話になっている現地在住のご夫婦に、宝のありかまでピンポイントで連れて行ってもらった。贅沢すぎる。本当に有難うございます!

その中で最も印象に残ったのがこの店、スタンダード・フェアだ。

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ひとけのない倉庫街の一角に人が集まっている。外のベンチが客席みたい。

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窓からトマトをペーストにする作業をしている人が見えた。丁寧に、ゆっくり手を動かしている。通りには甘いトマトとオリーブオイルの香りが満ちている。お店に入る前からなんだかとても穏やかで、あったかい雰囲気を感じる。

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流れている空気が気持ちいい。

オーナーのケルシーさんに少しお目にかかったけど、とても素敵な女性だった。ビッグスマイルで愛に溢れた優しい人。元シェ・パニーズで、アリス・ウォーターズと共著も出しているそう。働いている人も柔らかい雰囲気だった。期待は高まる。

チキンサンドイッチとトマトスープ、グリーンサラダを注文しました。

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衝撃的な美味しさだった。カジュアルなようで雑なところが一切ない。あったかくて優しい食べ物の印象が体に染み込んでいる。食材とつくる人と食べる人がまるく調和しているような味。普通のサンドイッチとスープとサラダに見えるでしょう? 全然ちがう。

こんなふうにコーヒーを焙煎できたら・・・と思う。一口飲んだらすべての優しさと命が伝わってくるような味。でも正直こんな味を出すには私が人としてもっと成熟しないと難しいと思う・・・。人と場と料理はすべてつながっていて同じ味がするのだ。この体験は私にとって、コーヒーの味を決めたり、なにかモノゴトを生み出すときの大切なレファレンスになるだろう。

このランチのひとときは、ささやかなようで、とても深い体験だった。通いつめてその秘密をもう少しひも解きたかったけれど、それは次の楽しみにとっておこうと思う。

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