BLOG

ダニエル・ベラ・フィンカという名の楽園02

最高の笑顔で歓迎してくれるダニエルを見て、なぜか実家に帰ってきたような感覚になった。

なんとも言えない安心感がここにはある。

ダニエルとの時間は、今回の旅に中でも特別楽しみにしていた。

初めて農園を案内してくれたときに見せた彼の表情は、時間をかけて育んできた農園に対する自信と誇りの現れでもあった。

この笑顔をつくっている考えや将来を聞きたかったし、僕たちのことも話したかった。

全く違う人生を生きてきたお互いが、コーヒーで繋がることができた本当の意味が、一晩かけて対話すれば見えてくると思ったからだ。

僕たちがお土産で持ってきた日本酒を手渡すと、彼は当然のようにラム酒を持ってきた。

蒸し暑い場所で、ぬるい日本酒とラム。コンディションとしては決してよくはないのに、なぜかたまらなくうまい。

 

僕たちは、ただただ語り合った。
お互いの人生について。どんなことに喜び、なにに悲しんでるのか。働くってなんなのか。なぜ今の仕事をしているのか。

ダニエルにとっての幸せとは、健康で、家族や友達がいて、毎日農作業に励んでいる普通の生活だという。悲しみは、大切な人との別れ。最近も母親とお別れしたことが悲しかったという。すごくシンプルで、あるがままを幸せに生きていた。

 

コーヒーについてもとてもシンプルだった。量よりも質を重視していて、美味しくないものを作っても意味がないと語る。だからこそ品質を高め続ける必要があるし、そのために努力が必要だと。このことを近隣の農業仲間みんなで共有しているらしい。彼らは極めてシンプルなことに全力で取り組んでいて、そこに理由があるというよりは自然に生きて楽しんでいるように感じた。

 

そのほかにも僕たちはたくさん話をした。社会のことや将来のこと、お互いに話が尽きることはなかった。

 

気がつくと僕は眠っていた。
ハリケーン前で蒸し暑く、もちろん冷房も扇風機もない。それでいて蚊の音が当たり前すぎて違和感を忘れてしまうくらいの寝苦しい夜なのに、なぜかとても心地よかった。

 

ダニエルと夢を共有できたことがとても嬉しかったからだ。彼のコーヒーを早くみんなに届けたい。HOMEに来てくれるみんなはもちろん、サンフランシスコのヘンリーおじいちゃんにも、アムステルダムのボカで出会ったYakupや、コペンハーゲンのコーヒーコレクティヴでキューバに行くことに驚いてた彼にも。これまで繋がったみんなを、ダニエルのコーヒーで繋ぐことができる。


帰り際にダニエルが言ってくれた言葉が今も心に残っている。

 

僕たちは彼に質問してみた。
なぜ繋がったと思う?こんなにもたくさんの人がいる世界の中で、僕たちが繋がった意味ってなんだろうね。

ダニエルは少し考えてこ答えた。
僕たちが繋がった意味はわからないけど、こうして繋がることができたことをこれからも大切にしたい。手紙が届いたときとても嬉しかった。今日もまた来てくれてとても嬉しかった。これからもよろしく。

とても素直で純粋なダニエルの言葉にとても共感しながら、1つの確信を得ることができた。ダニエル・ベラ・フィンカという名の楽園の正体は、ダニエルという生産者の心そのものだ。

 

こちらこそ。ありがとう。また来るね。

つづく。

Tags :
トップへ