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空白の二日間。

「この出来事は一体何を意味しているんだろう?」

この旅で何度考えただろう。ベッドに寝転んでいると、頭の中に考えや感情がぐるぐると回る。すべてがうまくいかない、仲間との関係性もうまくいかない、状況を変えるために行動もできない。ただ部屋の中に閉じこもっているだけ。

過去最大と言われるハリケーンに備えて、ホテルの外壁はベニヤ板で覆われて、ガラス窓にはテープが貼られている。

そう、私たちはハリケーンの襲来によって、サンティアゴ・デ・クーバのホテルに閉じ込められていた。フロントの人は「今日はホテルの外に出ないで下さい」と言う。明日も外に出られるかは分からない。何もできない、空白の二日間。

こんな状況の中、私はキューバという国について、もう一つ深く知ることになる。

私とのんちゃんが、廊下に立ち尽くして途方に暮れていたら、通りかかったホテルのスタッフが次々に声をかけてくれる。どうしたの? 大丈夫だよ、安心して。あなたのボスに説明してあげようか? 困ったら声をかけて。5人、6人、集まって、慰めてくれようとしてくれる。椅子を持ってきて、ハーブティーを手渡して、ハグしてくれた。

大変なのはサンティアゴ・デ・クーバに住むみんなの方なのに、来週には帰る来訪者の私たちに優しくいてくれる。その強さ、美しさ。

私はどうして、自分や自分たちのことしか考えてなかったんだろう。

これについては、その後の滞在でも深く感じることになる。

サンティアゴ・デ・クーバを出てハバナ方面に戻る途中、シエンフエゴスという街に泊まることになった。この街のハリケーンの爪痕は深く、街中が停電していた。どのホテルも満室で、最終的に、あるカサに泊めてもらうことになった。みんな玄関先に座って、話したり、飲み物を飲んだりしている。車を降りると、どこからかラテンのリズムが聞こえる。何かを叩いて音を出して、楽しんでいる人たちがいるようだ。空を見上げたら、満天の星空だった。カサの人たちは「電気が無くて不便をかけてごめんね」と言って、非常用の電灯を用意してくれた。翌朝、テーブルいっぱいの朝食を準備してくれた。もし自分だったら。過去最大のハリケーンに見舞われて、停電して自分の生活もままならない中、旅行者を迎え入れて、朝食を用意することはできるだろうか。

カマウェイという街のカサに停まったときも、停電の最中、到着してすぐ昼食を準備してくれた。私があまり食べられないでいると、カサのお母さんが「どうして少ししか食べないの?」と、こどもを思うように心配してくれた。その翌朝、朝食を食べ終わったら「よく食べたね!」と、とても嬉しそうにしてくれた。

どんなに辛い状況においても、明るく、人に優しくできる強さ。
私が今回キューバに来て、一番影響を受けたのは、そのことだった。

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