「レッスンの間にお客さまにコーヒーを淹れてくれませんか?」
それは急な提案だった。
パーソナルメイクレッスンの先生をしている知人から。
そのレッスンを私が受けたのは何年も前なのだが、Facebookでつながっていたのでお互いが今、どんな状況なのかはわかりあっていた。
「今度スキンケアレッスンをするので、そのときに。」
彼女が私のFacebookを見て、そんな提案をしてきてくれたのは嬉しかった。
サンフランシスコ帰りで丁度私はコーヒーを淹れることに興味が湧いていた時で、いろいろと道具を買い揃え、美味しい淹れ方を習い、練習していた最中だったから。
でも少し考えた。
こんなちょっと淹れ方を習っただけの私が人のお客さまにコーヒーを提供していいのだろうか?
迷ったとき、私はいいシーンがイメージができるかを判断材料にしている。
満足のいくコーヒーが淹れられているか、お客さまはどうしているか。。。
大丈夫だった。自分が笑顔でお客さまと話しながらコーヒーを淹れているのがはっきりとイメージできた。
「ぜひやらせていただきます」
返事をすると彼女はとても喜んでくれた。その日まで、私はまた練習に練習を重ねた。さまざまなサイトをみて、自分では飲みきれないほどのコーヒーを淹れながら。
当日の準備をしながらもいろいろ考えた。
旅行で行ったカフェの豆をすべて買ってきていた私は、どの豆を持っていくか当日の朝まで悩んでいた。どれか一つにした方がいいのだろうか、、、、、どうだろうか、、、、、そんなときもお客さまの立場になって考えてみた。
もし私が今日のお客さまだったら、、、、
(全部飲んでみたい!)
おいしかったら買いたくなる気持ちも出てくるだろう。
持っていく豆は決まった。
その他にも考えたことはいくつかある。
飲む3種類の豆は日本ではメリータイムでしか買えないことを伝える。美味しくても買うことができなければ意味はない。
わたしが体験した旅行がとても楽しいものだったこと。そこでもコーヒーに魅入られたこと。
それらを少しでもお客さまに感じてほしい、伝えたい!!!それにはどうすればいいか?
いい意味で欲張りになっていた。そのためにはもらったポップをたてておいて、
パソコンを持っていってメリータイムのサイトを紹介して見てもらおう。
丁度ブログもアップされていて、旅の様子がわかるようになっている。
当日、レッスンが始まってから、私は夢中になってコーヒーを淹れ続けた。
途中で興味のある人は話しかけてくれるし、初対面の人でも楽しく話すことができた。イメージ通りだ!
終わりに近づくにつれて
「さっそくサイトをブックマークしました。」
「この映っているのが曽根さん?」
「面白そうな旅行ですね」
「こんなに味が違うんですね」
さまざまな感想をお客さまは口にしてくれていた。
スキンケアレッスンは終了し、反省会をして、次回はこうしよう、男性相手のスキンケアの時もコーヒーはいいかもね。なんて盛り上がりながら。
帰り道、充実した気分でFacebookを開くと参加者の一人の書き込みに泣き出しそうになってしまった。
「普段はブラックコーヒーは飲まないんですけど、今日のは美味しくてごくごく飲めました」
伝わったと確信できた。
ねえ、旅行をしたみんな、
これがメリータイムなのかな?
もしそうならこんなに嬉しいことはないよ。
輪を少しでも広げることの小さなお手伝いが出来た。
そう感じることができた瞬間だった。
これを続けていこう。少しでも輪が多くなるように。輪が大きくなるように。きっかけを伝えるだけでいいんだ。
今までの自分とは少し違う私がいた。
これがきっと私のメリータイムだ。