昨日に引き続き、今日もブルックリンの街を歩き回る。
今日はステイ先のフォートグリーンから南東の方に歩き出す。
ブルックリンは元々マンハッタンに住めない低所得者層が、
仕方なく住むような場所だった。
ところが近年、マンハッタンからアーティストや知識層が移り住み、
独自の文化を形成している。彼らは居場所をつくったのだ。
私の大好きなバンドや作家も(ポール・オースター!)
ブルックリン在住である事が多い。
今回は、ベッドスタイと呼ばれる地区の、
少し手前のエリアを歩いてみる。
このエリアに自分たちの居場所を見つけた人達がいる。
キーワードは《美味しいもの》だ。
そのハブの一つ、オーガニックのデリ Choice Market(チョイス・マーケット)は、
朝食、サンドイッチ、デリ、パティスリー、カフェが揃う豊富な店である。
ここで一日中の食を満たす事ができる。
終日、お客さんが絶えることがない。
学生風の女の子がペーパーバックを読んでいたり、
警察官がお昼ごはんを買いに来たりする。
私のお気に入りはオムレツの朝食。
トッピングが選べるオムレツと(今回はチェダー、トマト、ほうれん草にした)
グリーンサラダ、ラタトゥイユで和えたカリカリのベイクドポテト、
トーストしたドライベリー入りの小さなパンがボックスに入っている。
体に染み込むナチュラルな味。
Choice Market(チョイス・マーケット)の2ブロックほど先には、
言わずと知れたドーナツの名店 dough(ドウ)がある。
耳が千切れるほど寒い今日のような日でも、外まで人が並んでいる。
ドーナツがダースの箱でばんばん売れていく。
この人達、一体どこから来たんだろう?
黒人居住者しかいないエリアにぽつりとできた、
オーガニックのデリやハイエンド(?)なドーナツ屋は、
昔ながらの古めかしいブラウンストーンの住宅街に見事に溶け込み、
地元民からも愛されるようになった。
その先には超ヒップなパン屋 Scratch Bread(スクラッチ・ブレッド)、
ヴィーガン向けの Clementine Bakery(クレメンタイン・ベーカリー)などがあり、
どの店もとても繁盛している。
理由はシンプル、美味しいから。
これは、日本の地方都市で何か事を起こしたい若者にとって、
良いお手本になると思う。
感性を同じくする人達が集まるだけじゃダメで、
地元の人達の生活をアゲるものでないと本質的じゃない。
居場所をつくるという事は、
自分たちの旗印を掲げるという事ではなく、
求め、求められ、その場所と調和するという事なのだ。
異なる者が繋がり合い、調和し、美しさが生まれ、それが自然になる。
そこにいる誰もがインスパイアされるような時間、
隣にいる誰かを大切に思う時間。
そんな《MERRY TIME》が生まれ続けるような場所をつくりたい!
さて、二日間のまとめ。
1:
居場所をつくるために、先駆者として最も有効なのはカフェである。
(例えば、造船所エリアにおけるブルックリン・ロースティング・カンパニー)
なぜなら、コーヒーには人を繋ぐ力があるから。
2:
居場所をつくるとき、今は何もない場所、意外性のある場所を選ぶとエキサイティングになる。
《異なる者》が異なりすぎると、ヒップでクールで面白い!
3:
繋がり合い続けるためには、魅力的であらなければならない。
例えば圧倒的な美味しさ、ずっとここにいたいと思える空間と人。
私達はどこに居場所を定めるのか。
しばらく見守っていて欲しい。乞うご期待!
それにしても寒い。
ひとつ忠告させてもらえるなら、
二月にニューヨークに行ってはいけない。
戸外を歩いていると生命の危険を感じる。
写真のクオリティが低いのは、長時間ポケットから手を出しておけなかったからだ(言い訳)。
ニューヨーカーに、
「日本から来たの?寒くてびっくりしたでしょ!」
と何回言われたことか。
はい、本当にびっくりしました。
(つづく)