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コーヒーを真ん中に。

私はただブルックリンの街を歩くことにした。
気の向くままに、五感を研ぎ澄ませながら歩き回る。
感じること。それが今回の旅の目的である。

ところが、私はすぐ後悔する事になる。
ステイ先のドアを開けると、外は吹雪だった。
気ままに街を歩き回る日和とはとても言い難い…。

私は気を取り直し、ニューヨーカーを気取って、
「ちょっとそこまで」というような面持ちで歩き出した。
どこへ向かうかは、まだ決めていないけれど。

ステイ先のフォートグリーンから北上すると、
だんだん人が少なくなり、やがて海軍造船所にたどり着く。

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しばらく歩くと、突如カフェが現れた。
Brooklyn Roasting Company(ブルックリン・ロースティング・カンパニー)である。

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心地良い、暖かい場所。

私はここでラップトップのキーを叩きながら、
吹雪が弱まるのを待っていた。

裏に焙煎所を構えるこのカフェは、このエリアのランドマークである。
彼らをフォローするように最近 Parlor Coffee(パーラー・コーヒー)の焙煎所が近くに出来た。
カフェのお客さんやバリスタのお腹を満たすピザ屋が近くに出来た。
さらにデザインオフィスや、フォトスタジオが出来た。

こうして、決して治安が良いとは言えない、
わざわざ来る用事もない閑散とした造船所エリアが、
アートでヒップな場所に様変わりしたのだ。

カフェがハブとなり、人々が集まる。
人々は、感性を、場を、時間を共有する。
例えば、アーティストやフォトグラファーがカフェに集い、化学反応が生まれる。
バリスタやロースターが集い、コミュニティが生まれる。

そこがひとつの居場所として機能し始める。

その真ん中にあるのは、一杯の、あつあつのコーヒーだけ。
それだけで、こんなにも豊かな時間が生まれるのだ。

(つづく)

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