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OMOTESANDO KOFFEE(オモテサンドウコーヒー)

例えば、サンフランシスコからコーヒー好きの友達が日本にやってきたとしたら、
一番はじめに連れて行って、心震わせている顔をみたい。
そんなお店だったのにな。

と、温かいカフェラテを両手に包んで、庭の紅葉の木を見上げながら思う。
昨日の夜、雨が降ったので、風景がしっとりと濡れていた。
漆塗りの盆の上に赤い紅葉の葉が並べられていた。
雨の日がとてもよく似合うお店である。

年末でお店を閉めてしまうという。
あるインタビュー記事を読んでそれを知った。
すごく良い記事で、何度か読み返した。

表参道の裏手の住宅街にひっそりとある。

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少し低い門。足を踏み入れてみると、その限りなく茶室に近い雰囲気に胸がときめく。
写真ではシンプルでクリーンでミニマムな空間のように見えたけれど、それだけじゃない。

きちんとそこにしかない空気があり、匂いがある。
すみからすみまで手をかけられた空間の匂い。
棚の置かれ方やコーヒー豆の並べ方まで、心地良い緊張感で満たされている。

丁寧にお客さんを察して、注文時の会話の一つ一つを変えているみたい。
受け取ったカフェラテには綺麗なダブル・ハートが描かれていた。
ちょうどよい温度と甘さで、心地良い。
誰かをもてなして、いい気分になってほしいと思う気持ちってどこから来るんだろうと思う。

日本の良さとバリスタの職能が凝縮したような、OMOTESANDO KOFFEEさん。
私はただうっとりと眺めているような状態だ。

そんなカフェが無くなってしまうことに、残念さとともに美しさを感じる。
また世界のどこかで訪れることができたら、と願う。

こういう一本筋の通った一流のお店を訪れるといつも思う。
コーヒーという飲み物はなんて多様で、ややこしくて、正解が無いんだろう。
なにが一番美味しくてかっこいいかなんて、ジャッジし続けていたらきりがない。

私たちがやることは、ただ自分たちがイメージする世界や感性を信じ続けるだけなんだろう。

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