BLOG

物語のはじまり その1

サンフランシスコで出会った友人が「連れて行きたいコーヒー屋がある」と言った。
サードウエーブの聖地サンフランシスコのカフェはすでに行き尽くしている私達。
そんな私達にさらにお勧めしてくれるなんて、一体どんなコーヒー屋さんなんだろう?
ワクワクしながら友人の運転する車に乗ってダウンタウンを出発した。
そのお店はサンセット地区にある。
市街地から車で30分ほどの海に近いエリアだ。
サンフランシスコ特有の坂道のアップダウンをたくさん乗り越えて到着したのは、
住宅街の中に溶け込むようにあるコーヒー屋さんだった。
DSC00392
その名の通り、ヘンリーおじいちゃんが営む街のコービー屋さん。
45年続く、老舗中の老舗だ。
お店に入ってすぐ、奥に見える焙煎機に目を奪われた。
サンフランシスカンという名前の年季が入った焙煎機。
使い込まれているけど、よく磨かれて鈍く光っている。
日本で焙煎をしている私にとってはとても興味深い。
仕組みが知りたくてじろじろ見ていると、
おじいちゃんはすぐに隣に来て、
身振り手振りで一生懸命説明してくれた。
DSC00112
「ここから生豆を入れて、こうやって火力を調整して、排気はここで…」
ひとつひとつ丁寧に教えてくれる。
DSC00114
私は、おじいちゃんをすぐに大好きになった。
《同じものが好き》な者同士は、年齢が全然違っても、
言葉がスムーズに通じなくても、一瞬にして通じ合える。
きっとヘンリーおじいちゃんもそう思ってくれていたと思う。
ヘンリーの焙煎するコーヒーは本当に不思議で、
飲めば飲むほど好きになり、
飲めば飲むほど分からなくなる。
何とも言えない旨味がじんわり広がるのだ。
ヘンリーの息子さんフラグも一緒になって、雑談したり、コーヒーを飲んだり。
生豆の麻袋が積まれたバックルームを見せてもらったり、そこでじっくりお話を聞いたり。
初めて来たのに、何か懐かしい場所だった。
DSC00390
私達とフラグはすっかり仲良くなって、あるアイデアを思いついた。
それは、とてもワクワクする計画だった!
《つづく》
トップへ