2016年11月20日〜25日まで、オスロとコペンハーゲンを12人で旅しました。
その様子をわりと個人的な視点で書き留めています。
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Airbnbに到着して、お決まりのもりあがる部屋割りを終えたあと、みんなでオスロの街を歩くことにする。
このみんなではじめて街を歩いたときの風景は、すごく甘い記憶として焼き付いている。夕方4時になれば暗くなり、街灯りは灯り始め、小雨で潤った藍色の空気に滲む。石畳は歩みに心地よくリズムを刻む。くすんだ桃色やからし色、黄緑の壁、そこから漏れる部屋の光。数々の壁画、物語に出てくるようなレストラン。あるメンバーが教会を見つけて、そっと覗いてみる。控えめな装飾、高い天井。ぽつりぽつりと座っている人は何を思っているのだろうか。私はこの美しい夕暮れの時間をずっと忘れないだろう。
イルミネーションに彩られた橋を越えて、公園を横切ると、私たちが目指していた第一のカフェが見えた。Tim Wendelboe(ティム・ウェンデルボー)だ。
Tim Wendelboe(ティム・ウェンデルボー)とは?
2004年ワールド・バリスタ・チャンピオンシップ優勝者。現在はオスロでカフェと焙煎所を経営、近年コロンビアの農園を購入しコーヒーの栽培に注力している。世界のコーヒーを牽引する存在。
十人も入ればいっぱいのこじんまりとした店内。左側に焙煎機、ラボ、右にコーヒ豆の棚、そして奥がコーヒーバーになっている。ミニマムな空間です。
私はカフェラテを頼んで、すごくワクワクしてカップに口をつけた。もちっとして油分を感じるようなミルクフォームとナッティでフルーティーなエスプレッソ、私にとってはかなり新鮮なラテだった!みんなも「ちょっと違うね」と言い合っていた。やっぱりそうか。記念すべき一杯目のコーヒーがティム。贅沢だー。
ティムで働いているバリスタさんは静かな自信に満ちていて、すごく親切でした。まとまりのない日本人たちがバタバタ入店しても(笑)嫌な顔ひとつせず、丁寧に飲み物をつくり、コーヒー豆をひとつひとつ説明してくれた。一流はどこを切り取っても一流なのだ。お客さんは絶えない。地元の人と観光客が半々くらいだったように思う。わりと英語が飛び交っていた。
接客してくれたバリスタさん、ありがとう。手にしているのは彼のイチオシ、ホンジュラスのゲイシャです。
お店を出ると、目の前はゆるやかに傾斜する芝生の公園である。思わず夏の美しい光景を想像する。オスロの人はティムのカップを手に短い陽光を楽しむんだろう。
さて、オスロはじめての夜は、ある人と会う約束をしていた。
(つづく)
Photo by Kazuyuki Shoji