もう一つの繋がった生産者ネイサン家族に会いにComagueyから山へと向かった。ハリケーンの猛威を目の当たりにしながら車を走らせる。
ダニエルたちのことが心配になってネイサンのところに行くまでの通り道ということもあり、様子をみに行くことにした。
道は本当に悲惨で木や電線も倒れていて、走行するのもかなり困難な状態。
なんとか進み続け、ダニエルの家に到着。
いつもなら入り口から家までの100mくらいの山道がワクワクするのにこの時だけは不安と悲壮感でいっぱいだった。
それでも僕たちの訪問に気づいた奥さんのマルリーンが明るく迎え入れてくれた!
彼女の底抜けの明るさと愛嬌、そしてダニエルを思う姿勢には安心させられるし、本当に尊敬する。
「ダニエルベラフィンカ」
ダニエルの美しい庭
彼が本当に我が子のように育て続けていた農園がハリケーンで全てダメになった。
たくさんの果物や野菜、そしてコーヒーの木も。
この地で25年も農業をして、誰よりもこの土地で作物を育てる事に誇りをもち、この場所を育み続ける事が自分の一番の幸せだと語ってくれたダニエル。そんな彼の農園で育まれたたくさんの命が、積み上げてきた彼らの思いや努力が、自然の猛威によって一晩にして台無しになってしまった。
悲しくて胸が痛む。
と同時に今の僕たちに何ができるのだろうか?
グワポグワポー!(笑って笑って!)
ビボビボー!(僕たちは生きてるよ!)
ムーチョムーチョー!(元気出していこう!)
そんな掛け声とともに家に入ってきて、
一番辛くて、大変なダニエルに逆に励まされた。
彼の優しさと強さを感じて、
涙が出た。
泊まった翌日に、久しぶりにベラフィンカを
一緒にまわっていた時、彼に聞かれた。
「この前来たときと今はどっちがいい?」
彼が、毎朝5時に起きて農園に行き、育て続けている自慢の農園が日々変化し続けていることを感じて欲しかったのだと思う。
また、近所の人たちは避難しているけど、ダニエルたちだけは家と庭があるここにとどまったという。
それくらいに農園への【純粋な思い】と自らのあり方を貫き通す【強さ】を感じずにはいられなかった。
そのことを思うと、心が痛くなりまた涙が出てしまう。
みんなで色々話しをしながら、具体的な被害とかこれからのこととかを聞いてみると、悲観的に考えても仕方がいないし、余計に状態が悪くなっていってしまう。
僕たちは生きている!
また同じ様な状態に戻すのに3年以上はかかるけど、今まで以上に働いて1年でまた元のようにしてみせるよ!!
ダニエルの前で涙を流してしまっていることが情けなく思えた。
大事なことは、自分ならどう生きるのか?
ということを彼らから学ばせてもらった。