この街を歩いていると誰もがクラシックカーの多さに気づくだろう。
調べたところ、1959年のキューバ革命以前はアメリカの車が多く輸入されていたが、革命以降にアメリカとの国交は断絶。
経済封鎖を受けていたキューバは、いくつかの国の支援を受けながらも困窮する経済の中で、ここ最近まで新車を購入することが許されていなかったとか。
結果的に1940年代〜50年代のクラシックカーが多く走っているわけだ。
彼らは50年以上も修理しながら同じ車を乗り続けてきたということだ。
その一方で先日、某自動車ディーラーから電話があったことを思い出した。
どうやら僕の車が間もなくモデルチェンジするらしく、このままでは中古車市場の価値が下がるとのこと。
今のうちに高値で売って、同じ金額で新型のリースを組む方がお得ですよといった内容だった。
今思うと無意識のまま、帰国後考えようと思っていた自分に恥ずかしくなった。
誰にとっての特なんだろう。
なんのために新型を買う必要性があるのか。
もちろん燃費や環境負荷の問題なども交えて、もっとトータルで判断する必要がある。
でも、相手の言うことをうのみにして、お得感やその場の感情で生活してしまっていることが多いのも自分であり、今の社会でもあると思う。
限られた資源を大切に繋ぐこと。
コーヒーを通じて生産地の魂や文化を媒介し、ライフスタイルに革命を起こしたいと考えている僕たちの価値観を、街を走るクラシックカーが育んでくれた。
さて、この価値観をどのように事業や商品に体現するのか。
キューバのコーヒー豆を取り扱うとき、何かしらの資源をどのようにデザインするのか。
商品にはビンテージという価値観をどうプラスするのか。
これがビジネスの楽しさだな。
—–繋がってきた物語03
「帰国後あのカフェに行ってみたら?」
別れ際に彼らがくれたアドバイス。
とても好意的だった夫婦が紹介してくれたカフェに行かない理由はない。
日本に戻り、早速そのカフェに向かった。
そこで出会ったのが、あやねだった。
サンフランシスコ帰りでテンション高めの僕たちと少し温度差はあったが、彼女の中に何か強い意志みたいなものを感じた。