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私とコーヒーの出会い

小学生の頃、月に一度くらい、母と一緒に街にお買い物に行くのが楽しみでした。洋服を買ってもらったり、文房具を物色したり、華やかな街の空気を吸うと、とてもワクワクしました。そんなお買い物の途中、休憩で喫茶店に入ると、母はいつもブラックのコーヒーを注文しました。

家にはインスタントコーヒーが常備してあり、母は小さなデミタスカップに濃い目に作って、飲んでいました。

私は「どうしてこんな苦い飲み物を、わざわざ飲むの?」と不思議に思っていました。コーヒーは、お酒みたいに、美味しさが分からない大人の飲み物だったのです。

大学一年生の時、スターバックスでアルバイトを始めました。入社してしばらく経った頃、コーヒーとお菓子のペアリングを学ぶ研修がありました。お客様におすすめできるように、いくつかのシングルオリジンのコーヒーとお菓子を食べ合わせて、相性が良いものを理解するという内容でした。当時の私にとっては、コーヒーの味の違いを感じることすら難しい状態でした。でも、その時感じたスマトラのコーヒーとシナモンロールの組み合わせに、とても感動したのです。確かにシナモンロールには、グアテマラでもコロンビアでもなく、スマトラが最も相性が良く、お互いに引き立てあっていました。

「同じコーヒー豆なのに、収穫された土地が違うだけで、こんなにも味が違うなんて面白い」と興味が湧いてきました。

まったくコーヒーが飲めなかった私が、コーヒーを好きになり始めたのです。

スペシャルティ・コーヒーを知ったのは、大学を卒業してから、20代前半のことでした。

地元で唯一のスペシャルティ・コーヒーのお店を訪れて、浅煎りのエチオピアを飲みました。それは、これまで飲んでいたコーヒーとはまったく異なる飲み物でした。フルーティーで、独特の香りがあって、苦くない。何杯も飲みたくなるような心地よさ。

「生産地による味の違い」がこんなに鮮やかに感じられるコーヒーがあるなんて・・・。

世界の見え方がまるごと変わったような出来事でした。
この体験から、私は、様々なコーヒーを試すようになりました。

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