BLOG

京都の茶筒の老舗がカフェを作った。 -Kaikado cafe(開化堂カフェ)

日本人がつくるお店や空間って、すみずみまで意識が行き渡っていて、それは非の打ち所のない文章のようである。何度も何度も推敲して整えた文章。古びた壁のもようまで、まるであつらえたよう。そんな感じ。逆に、アメリカ人がつくるお店や空間は風通しがよくて、ざざーーっと書いた文章のような、一筆書きのドローイングみたいな感じがする。でもすごくかっこよかったりする。

アメリカでも日本っぽく作りこんだお店をいくつか見たけど、日本のそれには敵わない。「趣味」や「美意識」の領域は、日本はめっぽう強いと思う。逆に日本人がアメリカっぽい店を作ろうとすると、どうしても作りこんでしまう。「作りこんでなさ」を作りこんでしまうという矛盾に陥る。やっぱり自分の根本を大切にしないとね。

そんなことを思い起こさせたのがこのカフェであった。

「京都「開化堂」は、明治八年創業の日本で一番古い歴史をもつ手作り茶筒の老舗です」(HPより)

プロダクトは茶筒のみ(アクセサリ的に茶さじとかはあるけど)。これってすごいよね。だって、茶筒ですよ。一個一万円以上する茶筒。それだけで六代も続くのか。家にお茶筒ありますか? うちにはない。実家にもない。一体誰が買っているのか。

そんな開化堂さんが先代と当代六代目さんの思いを盛り込んだカフェをオープンした。

このお店は完全に「趣味」と「美意識」の結晶である。
伝統と富が、洗練されたセンスをつくりだす。
このやり方は、ぽっと出では絶対にできない。
私たちとは真逆(引き合いに出すのもヘンだけど)。

まず、スタッフさんのホスピタリティと品の良さが素晴らしい。こういうお店だから接客感じ悪いと思うでしょ?サービスしてくれたリーダー格と思われる女性の接客は、一流ホテルを少しカジュアルにしたくらいの感じでした。それが一番印象的だった。

IMG_8583 copy

グラスが茶筒デザイン。水飲みグラスも。このきめ細やかな可愛さよ。
コーヒーカップに指をかけると、そのカーブにも趣味と美意識が感じられる。
ちなみにすべて店頭で販売されております。グラスは完売していました。

IMG_8576 copy

机も棚も、棚に並んだ本もすべて趣味がよい。
銅板が入ったカウンターの壁もお上品にまとまっている。よろしおすな。

IMG_8586 copy

コーヒー豆は「中川ワニ珈琲」。そっちがわの極地。
キーコーヒーのクリスタルドリッパーで抽出されていました。
使ったことないけど興味ある。

IMG_8589 copy

お店の奥にはテラス席あり。
京都女子旅のマストカフェとなるだろう。

IMG_8573

最後に見せて頂いた茶筒はとても美しい。
足すところも引くところもないミニマムデザイン。
何十年の時がつくる鈍色。
何百年も残る美意識。

IMG_8592

このような京都でしかありえないお店を見ると、この街の底の見えない凄みを感じる。
私たち一般庶民には見えない伝統と富と洗練の世界がある。望んでもそこに立ち入ることはできない。

このカフェ、めっちゃ流行るんだろうなー。
普通におすすめです!

Tags :
トップへ